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Mutesic

Mute/Music

『Singularity C-Model』『RIKANOID RIKANOIA』 (試聴と解説)

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直近の2枚のアルバムの試聴と簡単な解説文をこちらにまとめてみました。
インターネットや人工知能の時代に、音楽がどうなっていくのかということを考えながら、最近は曲をつくっていて、そのために、これまでとは違うタイプのポピュラー音楽というのを、試してみたりしています。その結果、以前よりややこしい感じの曲も増えてしまっているので、簡単な解説というのもつけて、こちらで試聴できるようにしています。
アルバムは、『Singularity C-Model(2015)』『RIKANOID RIKANOIA(2014)』の2枚です。
 
Singularity C-Model
全4曲¥750
2015.07.01 Download Release!
1 onexinmo 3:53
2 サテライト予告編 7:00
3 642/443 5:19
4 Varivine-f(ヴァリヴァイン・フェム) 8:20
作詞・作曲・アレンジ/秋山タイジ

インターネットの時代にポピュラー音楽がどう変わっていくのか、既存の形式にとらわれずに実験してみました。SF的で、新しい生命みたいなサウンドを意識してつくった4曲です。記憶/接続。やがて訪れる特異点…。

 

1 onexinmo

タイトルは「omni」と「xeno」をつなげて逆さまにしたものです。拍子や小節数でフィボナッチ数列を使用。音階はひとつのセリーからできていて、そ れを分解、変形、乱数化したものなどで構成されています。ただし、一部のみ非セリー。また、フラクタルな縮小写像を使った奏法、音の粒子、非線形的な何 か。画像を音声変換したノイズなども使っています。

taizi.hatenablog.com

 

2 サテライト予告編 (Satellite Preview)

曲名に予告編とついていますが、本編があるわけではないです。架空の予告編っていうのもヘンですが…。SFっぽい内容というか。

taizi.hatenablog.com

[歌うよ ラララ 聴こえるでしょ ねぇ あなたと]

狭く閉ざされた場所で眼に欲望をみなぎらせて熱中している姿
すべてが終わった地平で途方に暮れて遠くを見ている光景

第2衛星で生命が発見された、つぎの日

「もう、地球は生命を宿した奇跡の星ではありません。生命はありふれた、宇宙のどこにでもいる存在です。科学者は、人間が、宇宙で唯一の知性である可能性は限りなくゼロになったと発表しました」

たましいはわたしのそとにあって
遠い星をまわる 触れてもいいの?
輝く黒い光の闇

それでも楽しげに遊ぶよ
大空に閉ざされた地平線で
途方に暮れて踊っていた

(もう見えない場所まで来たんだ)

 

3 642/443

タイトルは、6/4と4/4のポリリズムからつけています。アンフォルメルな感じ。

 

4 Varivine-f(ヴァリヴァイン・フェム)

「Varivine-f」というタイトルで、「ヴァリヴァイン・フェム」と読みます。疑似TV番組的な構成というか、曲の中に挿入歌なども入っていて、サントラのような感じも。記憶/接続。特異点

taizi.hatenablog.com
00:00 タイトル(Title)
00:22 蔓(Vine)
01:57 インタプリタ(Interpreter)
03:23 挿入歌(Featured Song)
04:20 生命体(Feminized variant of exobiota)
06:00 特異点C(Singularity C-Model)
07:19 流れ(Flow)

[挿入歌]
荒れ果てた大地に舞い降りたその影は
繊細な夕陽に包まれて変化する

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RIKANOID RIKANOIA

全6曲¥1,200
2014.10.08 Download Release!
1 空のアイシュアイア 3:27
2 RIKANOID RIKANOIA 7:53
3 Flowering Period 4:02
4 idAmsyn 3:08
5 Polyline+4 2:42
6 Theater M (劇場M) 9:10
作詞・作曲・アレンジ/秋山タイジ

RIKANOID RIKANOIA - EP

RIKANOID RIKANOIA - EP

  • 秋山タイジ
  • エレクトロニック
  • ¥1200

ジャズ、ロック、テクノ、歌モノ、実験、前衛--等々、様々な要素が詰まっていると思います。歌唱にはボーカロイドを使用。どちらかといえば、前半はボカロによる歌がメインの曲が、後半の3曲は実験的な感じになっていると思います。

 

1 空のアイシュアイア

「アイシュアイア」とは、カンブリア紀に生息していた有爪動物の名前です。架空のアニソンのような感じの曲というか。ボカロによる歌唱。

taizi.hatenablog.com
さあ跳べ!
夢なのか
信じられない
アイシュアイア
飛行するもの
嗚呼
空の怪物くん
微笑んで
太陽
でも、突然落ちていくような…
やっぱり
さあ
歩こう
獣たちは行く
不確実な
舞い降りてくるもの
ビット/秒
遠景
何処へ

(でも、突然落ちていくような気がして、そっと眼を開ける)
――街はいつものようにゆるい風を運んで。
(もうすぐ…)
合唱「アイシュアイア」
その姿を現す。

 

2 RIKANOID RIKANOIA

RIKANOID RIKANOIAは「遥梨華乃(ハルカリカノ)」というキャラクターが、情報として音楽の中に組み込まれているというコンセプトで作りました。メディアミックス的と いうか。全4章を1つのトラックにまとめています。1章「モールス・リズム」とは、テキストをモールス符号に変換し、それをリズム化して演奏したもので、 文章の1行ごとにそのやり方を変えています。3章めはボカロによる歌です。ほかに、波形のスペクトログラムを表すとタイトル文字「RIKANOID RIKANOIA」が浮かび上がるノイズなどを入れたりしています。この曲は「スタート・アンドロイド」という詩をもとにして、そのインスピ レーションからつくりました。

taizi.hatenablog.com
 1章 モールス・リズム「ねえ、わたしはリカノ」
 2章 圧電効果(Piezoelectric Effect)
 3章 翔べないアンドロイドの運動を助けるために
 4章 リカノの二つの夢(謎の要塞&ワルツ・リカノ)

[キャラ] 遥梨華乃(ハルカリカノ)[♀年齢不明]

[テキスト](1章:これをモールス符号に変換してリズム化)

Hey, I am Rikano.(ねえ、わたしはリカノ)
Always beside you.(いつだって、あなたのそばにいる)
You don't notice maybe.(たぶん、あなたは気づいてくれない)
Though rhythm has told it. (リズムは伝えているのだけれど)
Dazzling dancing.(眩しく踊っているんだ)

taizi.hatenablog.com
[歌詞] 翔べないアンドロイドの運動を助けるために

遥梨華乃はこう考えた
翔べないってことはないと
さあ 動いて アンドロイド
信号を読み取ってその位置を計る
いまならもっと自由に制御できるかも
微かに光る それは「スタート」の文字

[詩] スタート・アンドロイド

波のうねりが砂を巻き上げ連れ戻し引いたあと
帝国の楼閣は吹きすさぶ風に侵食されつつ姿を表す
アンドロイドはカプセルの寝具のなかで
半透明な膜が周期的に呼気する時間と戦いながら眠っている
千年の時が水晶の中に閉じ込められて静止していた
物体は輝かずに 暗い 光ではないものを発している
電光掲示板の中の絵がかすかに「スタート」の文字を発光させると
動かないはずの壁面が建物から分離し 苔をそぎ落とし 離れ 合体する
すると まだ現れていない蝶がジグザグな飛行を開始し
翔べないアンドロイドの運動を助けるために
空間を切り刻みながら音階の導く室内へと入ってくる
そこには肉体のない彼女の器官が調和を腐らせ息をしていた
蝶は命ではなかったが 見えたので 無ではなく 運動だけで生きているわけではない
彼女は夢を蝶のなかにいれて活動の振幅をつかもうとする
ジグザグが距離になり 計れない 軌道を残し そしてまた 翔び
繰り返しが徐々に夢のかたちを鮮明にしていくと
楼閣がうねりのなかで引きながら迫ってきて
対立項の一方へと引き寄せられていく

 

3 Flowering Period

タイトルは「開花時期」という意味です。

taizi.hatenablog.com
あなたたちは 見ている
いまここで起こるすべて

わたしたちは 感じる
伸びてゆく わずかな気配

役者たちは見えない
弧を描き 線をずらす

それは いつか聴いてた はじまり

あなたたちは 見ている
いまここで起こるすべて

わたしたちは感じる
伸びてゆく わずかな気配

めぐる奇跡/軌跡は 何度も訪れて
いま花びらが ここで開く
(弧を描き)

[曲中ワード]
  stigma
  filament
  undefined
  ovule
  corolla
  appreciate
  reflection
  appreciate

 

4 idAmsyn

タイトルの「idAmsyn」は「dynamis」という単語のアナグラムで、文字の配列を変えると「say mind」などにもなります。ほとんど無調の曲なのですが、コードが一箇所だけ出てきて、そこが無調の外部になるというか。そのコードは「Am」で、譜面 に1小節だけ「Am」のコード表記がある感じ。あと、セリーをかなり使ってみてるんですが、歌の箇所では全音音階(ホールトーン)なども使っています。最 初の生ドラムの演奏もセリーにしています。

 さあ、今夜
 あの懐かしい歌を聴かせてよ
 空に♪(テーマ)が浮かぶ
 aaa-hhh-rrr-eee

 

5 Polyline+4

4つの短い部分からできている曲です。起承転結のようなものがない感じというか。以下のような。

A:拍子の順列(同じ順番がないように拍子が並んでいる)
 9/8 5/8 7/8 3/8 11/8 1/8
 7/8 9/8 3/8 1/8 5/8 11/8
 5/8 1/8 9/8 11/8 3/8 7/8
 11/8 7/8 5/8 9/8 1/8 3/8
   ↓
B:架空の弦楽組曲(の一部)
   ↓
C:音楽の内と外
 スピーカーから「新しい朝だ!希望の鳥…」
 窓から鳥の声、ドアを閉める
 Pop Music Show
 サウンドエフェクト
 再びドアを閉める
 客席「まもなく開演時間です」
   ↓
D:アンビエンス(オープニング・ゼロ)

 

6 Theater M (劇場M)

 この曲の宣伝文句は、「エルヴィス・プレスリージョン・ケージの両者が俯瞰できる位置に舞台を移動させてみよう」というもの。

 何もない世界は舞台
 起こることがすべて
 「7小節は空白でした」

5つの部分からできていて、構成は以下のようになります。

 Ⅰ 提示したら解体~始まりの後
 Ⅱ 歌手と観客「起こることがすべて」
 Ⅲ Mのテーマ→ピアノソロ
 Ⅳ ドラマ装置/断片
 Ⅴ メディア劇場{合唱フィナーレ}
 ※ END/ROLL(銀幕)

taizi.hatenablog.com

※ 「END/ROLL」は、この曲の後にくる独立した曲として作ったんですが、1つのトラックにまとめています。また、この曲は「Polyline+4」 からの続きで、ただしオープニングは「劇場M」の中に含まれないために「ゼロ」になるという。「Polyline+4」「劇場M」「END/ROLL」の 3曲はグループ化でき、また別の曲でもあるという関係に…。